かつお節以外の魚の出汁はある? ②煮干し編

出汁といえば、まず思い浮かぶのは鰹節。
でも実は、カツオ以外の魚からとれる出汁もたくさんあるんです。
それぞれに味わいの違いがあり、料理によって使い分けることでより深みのある味になります。

今回は節ではなく「煮干し」のご紹介です。
節と煮干しの大きな違いは「燻して乾燥させるかどうか」です。
節は燻す工程があることで、脂分が落ち、雑味の少ないすっきりとした出汁になります。
一方、煮干しは魚本来の旨みやコクがしっかりと残るのが特徴です。

《大まかな製造工程》
節  :煮る→煙で燻しながら乾かす(→枯節の場合はカビ付けや天日干し)
煮干し:煮る→天日または乾燥機で乾かす

片口煮干

カタクチイワシを煮干しにしたもので、煮干類の中で最も生産量・消費量が多いです。
地域によって呼び名は異なり、外海に接している産地で製造された物は「背黒」、瀬戸内海の産地で製造された物は「白口」と呼ばれています。
脂の乗り具合で出汁の風味が大きく変わり、脂が多ければクセのある力強い出汁、少なければすっきりとした上品な出汁がとれるのが特徴です。

平子煮干

マイワシを煮干しにしたものです。
片口煮干と比べてクセが少なく、あっさりとした出汁が特徴です。

あご煮干

トビウオを煮干しにしたものです。
あご特有の旨味とやさしい甘みのある出汁をとることができます。
九州では原魚を焼いた後に乾燥させて製造される「焼あご」が一般的で、幅広い料理に使用されています。

たい煮干

主にレンコダイを煮干しにしたものです。
やや淡泊ですが、たい特有の上品で甘みのある出汁が特徴で、塩ラーメンとの相性が特に良いです。

あじ煮干

アジを煮干しにしたものです。
やや淡泊ですが、あじ特有のあっさりとした出汁が特徴で、こちらも塩ラーメンとの相性が良いです。

煮干しだけでもこれだけたくさんの種類があるんです。
それぞれの特徴を見極めて活かしていくのが、プロの味づくりの奥深さです。