【第1回】日本食文化研究料理家 守岡実里子さんコラム「武士の活力の源!?鰹出汁は最高のスタミナ食!!」

『日本食文化研究料理家:守岡実里子さんによるコラム』

鰹出汁の魅力について歴史、料理など様々な視点から全5回に分けて皆様にお届けしてまいります。

プロフィール
守岡実里子

日本食文化研究料理家 
江戸食養生研究家 フードコーディネーター 
唎酒師

【資格】
日本成人病予防協会認定 健康管理士一般指導員
Kushi Institute of Japan認定 クシマクロビオティックインストラクター 
テーブル&フラワースクール成城認定 テーブルコーディネーター 
日本フードプランナー協会認定 フードスタイリスト 
日本豆腐マイスター協会認 豆腐マイスター 
唎酒師 日本酒品質鑑定士  四柱推命鑑定士

『武士の活力の源!?鰹出汁は最高のスタミナ食!!』

鰹出汁の原料となる鰹は海の中をハイスピードで泳ぎ、寝てる間も一生泳ぎ続けるタフな魚と言わ
れています。
そのパワフルな魚から作られる鰹節は古くから滋養強壮や疲労回復に役立つ食べ物と考えられていました。
近年では鰹出汁の健康機能に関しての研究が進み、鰹出汁に含まれる様々な成分が注目されています。仕事やスポーツなどで高いパフォーマンスを発揮したい現代人にとっても役立つ食材と言えそうです。

鰹節は戦国時代の兵糧食

戦国時代、鰹節は武士が戦場に赴く際の携帯食である「兵糧食」として欠かせない食品とされ、まだ科学が発達していなかった時代でも、鰹節は即戦力を必要とされる武士たちのスタミナ食として活用されていました。
兵法や武士の在り方を説いた『武教全書』には、「鰹節は薬剤にあらざるといえども、時として飢えに及ぶとき、これを噛めば性気を助け、気を増し、飢えをしのぐのみならず、功あるものなれば必ず用意すべきことなり」ということが記されています。

徳川家に仕えた旗本で、優れた戦士でもあった大久保忠教が著した『三河物語』には、出陣する武士たちがかつお節を帯に挟んで、戦いの前や空腹時などにかじって疲れを癒し、パワーを補っていたと伝えられています。
江戸時代の薬膳書と言われる「本朝食艦」によると、鰹節の効能として「気血を補い、胃腸を整え、筋肉を壮にし、歯牙を固くし、皮膚のきめを密にし」と記されていて、当時から鰹節に様々な健康効果があると考えられていたことが分かります。

鰹節で筋力UP!!鰹節はたんぱく質の宝庫!!
鰹節を栄養面で見ると、たんぱく質の量の多さが注目されます。
鰹節100gの中には、たんぱく質が約80gも含まれ、タンパク質を構成するアミノ酸がバランスよく含まれています。
また、高たんぱく低脂肪で、他の食品と比べるとたんぱく質の含有量に対してカロリーが少ない食品で、身体を鍛える時に摂取する食品としても理想的であると考えられます。

また、アミノ酸は内臓や筋肉、髪の毛や皮膚や爪などを作っていますが、体に必要なアミノ酸は20種類り、そのうちの9種類が必須アミノ酸と呼ばれ、体内で作り出すことが出来ないため、食事から摂らなければいけません。
鰹節は、この必須アミノ酸を全てバランス良く含み、鰹節10gを食べると体重50kgの成人が1日に必要なアミノ酸の量の30%を取ることが出来ると言われています。

鰹出汁で心と身体の疲労を回復

近年、鰹出汁には疲労回復効果があることが明らかになってきました。鰹出汁にはヒスチジン・アンセリンが含まれていて、血流を改善してさまざまな疲労の回復を促すということがわかっています。
肩こりや眼精疲労改善効果も期待できるので、仕事や勉強の後など疲れた時に飲むのもおすすめです。

精神疲労にも効果的

脳の血流が改善されると精神的な疲労など、心へかかる負担も軽減されるというデータもあります。
疲労感を感じている人の不安や緊張、疲労を回復させる効果もあり、メンタルケアという意味でも出汁は素晴らしい効果を持っているのです。
鰹出汁を飲んで、運動後の疲労や精密作業後の精神的な疲労が改善したという報告もあります。
心と体は別物ではなく、心のストレスを軽減させることで自律神経が整い、身体的にも高いパフォーマンスを発揮してくれます。
様々な不調を改善させ健康やあらゆる箇所に効果を発揮してくれるかつおだしは、忙しくて疲れ気味の現代人にうってつけの食材と言えそうです。