五十嵐鰹節が伝えたいこと

かつお節、だし文化をつなげていきたい

なぜ当社が一般の家庭に向けて通信販売を始めたのか。

この度は弊社通販サイトをご覧下さり、誠にありがとうございます。
私共は先代である創業者が昭和53年に会社を立ち上げて以来、日本そば店をはじめとする外食産業のお客様を中心に削りぶしを販売させて頂いており、一般の家庭向きには商品を販売させて頂くことはありませんでした。

記念すべき1回目のコラムは家庭向け商品を販売したことがない当社がなぜ本サイトを通じ通信販売を行うようになったのかを私共の鰹節に対する思いを交えながらお話しさせて頂きたいと思います。

五十嵐鰹節は『削り専門』の工場です

まず一番最初に鰹節って誰が作っているかご存知ですか?こんな質問をしたいと思います。
キャベツや白菜等の農産物を全国各地の農家さんが生産しているのは周知の事実かと思いますが、実は鰹節も同じように主に静岡県、鹿児島県の生産者の方々が製造しております。
生産者の方々が製造した鰹節を私共が仕入れさせて頂き、削り節にし、販売させて頂いております。

伝統製法による鰹節の製造が減少しています

鰹節と一言で言っても色々種類があることはご存知ですか?次はこんな質問です。
鰹節の種類は大きく分けると2種類あります。荒節と枯節です。荒節と枯節の違いは簡単に言ってしまうと鰹節用に培養された優良なカビを使って熟成しているか、していないかです。
カビを使って熟成している鰹節が枯節、熟成していない鰹節が荒節です。
枯節はカビを使って熟成させることによりカビが節の内部の水分を徐々に吸い上げ旨み成分が凝縮され薄削りにしてそのまま食べた際に口の中でとろけるように肉質が変化します。
また荒節よりも風味がまろやかになります。この枯節の中でも最高級品とされているのが何度もカビ付けを繰り返し熟成させた本枯節です。
本枯節の製造には生の魚の段階から最低でも半年以上かかります。
生産者が半年かけて製造した本枯節を私共が仕入れ、その後また半年ほど更なる熟成の為に保管し、商品として販売するまで1年以上かける事もあります。

近年、日本の食文化は時代の流れと共に簡便化、極端なコスト削減を求められる傾向が強くなっていると私共は感じております。当然日本の食文化を支える「だし」の原料である鰹節も例外ではありません。

加工食品メーカーは少しでも安い原料を求め、食品スーパーでは少しでも消費者に安く製品を販売しようとします。
消費者がより安い原料を求めるようになり生産者は製造に半年以上かかる枯節より、短い期間で大量に生産出来る製造方法を取り入れた荒節の製造にシフトして行きました。
その結果、伝統の製法で本当においしい本枯節を作る事が出来る生産者が激減してしまいました。
今の状況が続けば本当においしい鰹節を手に入れる事が難しくなるかも知れません。

本当においしい鰹節を提供し続けるために

ある時私がお世話になった時の御礼にある方に鹿児島県の生産者が製造した本枯節の薄削りを差し上げた後しばらくしてから、その方とお話しをする機会がありました。
その方はお会いするなり開口一番「先日頂いた鰹節は何か特別な鰹節だったのですか?今まで食べた事のある鰹節と全く違いました!!子供達も毎日ごはんにかけて食べ続けたのであっと言う間に無くなってしまいました(笑)」と仰いました。
私は驚き、最高品質の本枯節を使った薄削りという事を説明させて頂きました。
と同時に日本で鰹節を知らない人はいないかも知れないけど、伝統製法で作られた高品質の鰹節を食べた事がある人って意外と少ないのではないか?という疑問が生まれました。

日本の食文化を支えている、伝統製法を守り製造されている本当においしい鰹節をもっと日本全国の皆様に食べて頂きたい。
そして生産者からその時状態のよい鰹節を仕入れ、永年培ってきた目利き力を生かせば、おいしい鰹節を常に提供が出来る
その思いから本サイトで販売をさせて頂くことになりました。