五十嵐鰹節が伝えたいこと
目利きが選ぶよいかつお節とは?
【現地取材④】鰹節の生産地 枕崎・指宿を訪れる
目利きが選ぶよいかつお節とは?
その答えを求めて鰹節生産が最も盛んな鹿児島県枕崎市・指宿市を訪れた。
前回までのおさらいとして、かつお節ができるまでの9つの工程を確認したい。
①カツオの選定→②生切り→③籠立て→④煮熟・放冷→⑤骨抜き→⑥燻製・焙乾→⑦削り→⑧カビ付け・天日干し
今回はこれらのうち、本枯節の大事な工程である⑦削りと⑥カビ付け・天日干しを紹介したい。
⑦削り
⑥までの工程を行ったかつお節を「荒節」と呼ぶ。
表面が黒いタール(くん煙成分)で覆われ、鰹特有の香りが強く残ったかつお節になる。
一方で、カビ付けを繰り返したものを「本枯節」と呼ぶ。
カビ付けをすることで、カビがかつお節の水分を吸収して穏やかに乾燥したり、脂肪分を分解することで澄んだ上品な味わいの出汁をひくことができるようになる。
このカビが付きやすくするために、荒節の表面についているタールを落とすのが、削りの工程である。
⑧カビ付け・天日干し
表面を削ったかつお節に優良なカビをふきつけ、「むろ」と呼ばれる温度や湿度が管理された部屋にいれてカビを成長させる。
カビが成長すると表面に水分が浮いてくるため、天日で乾かす。
このカビ付けと天日干しの工程を何度も繰り返すことでじっくりと水分が抜けてゆき、節どうしを叩き合わせるとカーンと澄んだ音がする堅いかつお節になる。
カビ付けの完了は、節の大きさやカビの成長状態をみながら、職人の目利きにより判断される。
最後は傷や形状により選別され、基準を満たしたもののみが出荷される。
本枯節はこれらの数多くの工程を経るため、出来上がるまでに最低でも半年以上の月日がかかる。
また、こうしてできた本枯節を当社が仕入れ、さらに熟成するために半年ほど保管し、削り節として販売するまで1年以上かけることもある。
本コラムでは、荒節と本枯節ができるまでの工程を紹介した。
ぜひお手元に届くまでの長い月日を思い浮かべながら、かつお節を召し上がっていただきたい。