五十嵐鰹節が伝えたいこと

目利きが選ぶよいかつお節とは?

【現地取材③】鰹節の生産地 枕崎・指宿を訪れる

目利きが選ぶよいかつお節とは?
その答えを求めて鰹節生産が最も盛んな鹿児島県枕崎市・指宿市を訪れた。

前回までのおさらいとして、かつお節ができるまでの9つの工程を確認したい。
①カツオの選定→②生切り→③籠立て→④煮熟・放冷→⑤骨抜き→⑥燻製・焙乾→⑦削り→⑧カビ付け・天日干し

今回はこれらのうち、⑤骨抜きと⑥燻製・焙乾を紹介したい。

⑤骨抜き

骨抜きは、骨や皮、ウロコ、皮下脂防、汚れなどを取り除く工程のこと。
節が完全に煮籠から離れるという意味から、別名「籠離し」とも呼ばれる。

まず、最初に皮をとる。背中側(雄節)で頭に近いほうから半分または3分の2を、腹側(雌節)で同様に3分の1をはぎとる。
一部を残す理由は、このあとの「焙乾」の工程で身くずれがおきるのを防ぐためと、残った皮が「焙乾」の時にシワをつくり、このシワの状態が枯れ具合、つまり乾き具合を判断する目安になるからだ。

次に不要な部分を取り除き、専用の道具で骨を抜く。骨抜きをする理由は、完成したかつお節を削る際に引っかかったり、骨があることで形が悪くなるのを防ぐため、口当たりや風味をよくするためである。

⑥焙乾

焙乾とは、燻し乾燥させる工程のこと。
骨抜きを終えた段階での節は、鮮魚とほぼ同じ70%もの水分を含んでいる。これを蒸発させ、腐りにくくする役目がある。

骨抜きを終えた節は蒸籠の上に並べ、火山(ひやま)にかけられる。火山とは焙乾炉または焙乾庫のこと。
焙乾の作業は何度も繰り返されるが、最初に行われるものを「一番火」といい、「二番火」以降とは区別して特に「水抜き焙乾」と呼ばれる。

ここではまず「焼津式乾燥機」と呼ばれる焙乾庫で水分を飛ばしている。
併設した小部屋で薪を燃やし、その熱と煙をファンで吸い込んで節に当てることで効率的に焙乾を行う方法である。温度調整がとても重要で、温度が高すぎると身が割れ、低いと腐りやすくなってしまう。職人の長年の経験と勘に支えられた作業である。

次に「急造庫」と呼ばれる4階建ての焙乾庫でさらに水分を飛ばしながら燻す。
最下層で薪を燃やし、その煙があがった2〜4階で節をじっくり燻していく。節の水分が多いうちは火に近い2階で乾燥させて、乾燥が進むたびに3階、4階へと場所を移動させる。

いずれも薪に用いられるのは、じっくり燃える堅木のカシやクヌギ。まんべんなく煙が行き渡るよう、蒸籠の場所や上下を変えたり、薪の置き方にも工夫がなされている。

今回はここまでとし、次回以降もぜひ楽しみにして頂きたい。