五十嵐鰹節が伝えたいこと

目利きが選ぶよいかつお節とは?

【現地取材②】鰹節の生産地 枕崎・指宿を訪れる

目利きが選ぶよいかつお節とは?
その答えを求めて鰹節生産が最も盛んな鹿児島県枕崎市と指宿市を訪れた。

前回までのおさらいとして、本枯節ができるまでの9つの工程を確認したい。
①カツオの選定→②生切り→③籠立て→④煮熟・放冷→⑤骨抜き→⑥燻製・焙乾→⑦削り→⑧カビ付け・天日干し

今回はこれらのうち、③籠立てと④煮熟・放冷を紹介したい。

③籠立て

籠立てとは、生切りされた節を煮熟するために籠に並べていく作業のこと。

煮籠は、現在は金属製のものが使われるのが一般的。それまでは竹籠の底に柔らかい生草を敷き、その上にカツオを並べていたという。
籠立てはカツオの節を並べるだけの作業ではあるが、並べ方にはとても神経をつかう。ねじれていたり曲がっているとその状態で煮熟されてしまうため、形の良いかつお節を作るために一本一本丁寧に並べていく。

④煮熟・放冷

籠立てを終えた煮籠は重ねてウインチでつり上げられ、80℃くらいの湯をたたえた煮釜の中に入れる。煮籠を煮釜の中におろしてから湯の温度を98℃くらいまで上げる。このとき100℃にしない理由は、沸騰してしまうと釜の底から大きな泡ができ、節が動いて煮くずれがおきやすくなるからだ。

煮熟する時間は亀節と本節とで異なる。亀節は1時間、本節は1時間半が標準になっている。

煮熟の目的は、筋肉中の水分が拡散しやすいようにタンパク質を十分に凝固させること。その結果、よく肉のしまった、また苦味などのくせのない上等なかつお節ができ上がる。

煮熟し終えたら、煮釜から煮籠を引き上げる。引き上げたばかりの蒸気の立ち込める様子はいつみても圧巻。

その後、風通しのよいところに置いて1時間ほど風にさらし、身を引き締める。こうしてできた節が「なまり節」である。

今回はここまでとし、次回以降もぜひ楽しみにして頂きたい。